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2016.10.06
I Love 清澄白河 イタリアンバル:レ・デリッツェ・デル・モンド 09/22 OPEN
僕が江東区白河に引っ越してきたのが平成17年、今年で12年目になった。
引っ越した時から、この街に不思議な魅力を感じていた。
寺社仏閣が多く下町の落ち着いた雰囲気の中にも可能性が鼓動している。
地下鉄:半蔵門線・大江戸線の清澄白河駅ができ、街にも変化が訪れていた。
白河小学校跡地にインターナショナルスクールが開校。下町に異色の文化が飛
び込んできた。
この11年の間に多くのマンションが建設され朝夕の清洲橋通りや江戸資料館通
りは多くの人が行き交う。
ブルーボトルコーヒーの1号店出店は街にインパクトを与え、後に多くのカフェ
が清澄白河に出店。今では20店舗以上のカフェが街に話題と彩りをもたらして
いる。
その他にもワイン醸造所・ジェラート店・ワインバル・和テイストの居酒屋・
イタリアンレストラン等が続々と出店し、街に刺激を与えている。
そんな街の変化が何故か嬉しく、昨年の秋頃、江戸資料館通りの空き店舗を物
色し、過去に店舗であったであろう物件の所有者を調査、“ 賃貸募集しませ
んか ”的なダイレクトメールを15通ほど送ってみた。
2日程経ったある日、ダイレクトメールを送った所有者の一人から電話をいただ
いた。
「店舗として貸しても良いが、借り手がいるだろうか」と少々不安があられる
様子。
約束の日時に現地を伺ってみると旧店舗の灰色のシャッターを半分だけ開けた
薄暗い店舗の中に二人の男性が折りたたみパイプ椅子に腰かけていた。
「不動トレードの有田です」、オーナーらしき男性に名刺を差し出す。
言葉少ないげなその男性は父親がこの店舗で靴屋を営んでいたことを話してく
れた。
もう一人の初老の男性に名刺を渡すと彼も名刺を差し出した。名刺を見てみる
と江戸資料館通り商店街理事長との肩書。この男性は商店街の活性化のために
一生懸命の人物であった。
どこの誰ともわからない不動産屋から手紙をもらい、多少の可能性に期待した
オーナーはこの理事長に相談し二人で僕を面接したわけである。
とりあえず面接をパスした僕は今後の段取りを打ち合わせ、募集の準備に入った。
間口6メートル、9坪ほどの狭い店舗。店内には古びた装飾品やショーケース。
店舗の奥が居間となった昔ながらの典型的な商店造りで、店舗部分にインフラ
がなく、内装の解体から行いインフラの設置工事後、再度内装工事まで行うと
かなりの負担が発生する。
それらを賃借人がすべて負担するのはかなり厳しい条件であったがまずその条
件で募集を始めてみた。
募集を始めるとポツポツと問い合わせがあり、内見もそこそこにあるが負担条
件の重さに二の足を踏む者がほとんどだった。
しかし僕はじっくりと募集するつもりでいた。
この街の地の利が分かる人であれば、ほっとかない物件なのだから。
12月始め、ある不動産業者が一人の男性を連れて内見に訪れた。
男性の様子は、おっかなビックリではあるが真剣さがうかがえる。
男性の話を聞いてみると現在も某有名レストランのシェフを務めており、いよ
いよ独立を決心しての内見であった。
ふぐ調理師免許・ソムリエ・パティシエと食の世界を旅した彼は、その腕を振
るえる新天地を求めていた。
またその彼は、この物件の直ぐ近くに住んでおり、地の利も理解していたよう
である。
負担条件の重さにも関わらず、紹介の不動産業者を通して申し込みが入り、12
月22日に契約を行うことで準備を進めていたが、契約当日にキャンセルとなる
事態が発生した。年末最後の契約がキャンセルとなり後味が悪かった。
年が明け、立春が過ぎた頃、店舗シャッターに募集看板を貼ってしばらくした
ある日、僕の携帯が鳴った。
「有田さん、年末あんな断り方をしたので電話に出てもらえないと思っていま
した。」と彼。
「いや僕はまた君から連絡があると思っていたよ」 と僕。
地の利を知った彼がそう簡単に諦めるはずがないと思っていた予感は的中した。
聞くところによると12月に物件を紹介した不動産業者が、満足な準備もさせない
まま無理やり契約をさせようとしたことに不信感を抱き、キャンセルしたもの
だった。
その後、時間をかけてインフラ工事・内装工事の見積もりを集め、実際に賃貸
借契約を締結したのは6月末。その後、彼の熱心さから物件オーナーが、内装
解体費用一部とインフラ工事費用を負担するので「頑張ってやってみろ」との
ありがたい支援をいただくこととなった。
既存内装の解体と基礎的インフラ工事が7月に終わり、スケルトンとなった店舗
スペースは意外に広く想像を膨らませた。お盆過ぎにオープンしたいと言う思惑はかなりのずれ込みとなったが、徐々に
形を成していく内装工事が彼の夢を形と成していく。
道行く多くの人から声をかけられ、オープン前から注目の的となった。途中幾つもの困難な問題やオーナーとの交渉事が発生したが、どうにか乗り切り
、内装工事にも彼は率先して参加、店舗内の塗装は彼が1人でその思いを塗り込
んだ。
店舗外観はネイビーとブラウン系で落ち着いた感じ、店内はイタリア基調の調度
品が揃えられワインが入っていたと思われるレトロな木箱は彼が独立したときの
インテリアに加えたいとコレクションしていたものである。
レトロな照明・グラス・皿・そして彼のお姉さんが作成した見事な造形絵画が落
ち着きの中に彩りを添えた。9月に入り雨の日が多く、なかなか太陽が顔を出してくれないが、9月20日のレセ
プションに向けて急ピッチで準備が進められた。
大雨の9月20日、オープンに向けて協力いただいた方を招きささやかなレセプショ
ンが行われた。
料理にはなんと寿司が出てきた。彼は寿司も握れるのだ。
料理を極めたとは言わないでも職人として旅してきた彼には、多くのアイディア
と可能性があるに違いない。
なごやかな雰囲気で2時間ほどのレセプションは終わり、いよいよ9月22日のオー
プンへと突入していく。
100%の状態ではなかったが、彼の腕を知る多くの仲間が応援に駆け付け、オープ
ンを盛り上げたいようだ。
オープン初日、予約で満席、2日、3日それ以降も予約で満席。
たびたび店舗の様子を覗きに行くが、多くのお客様で店舗内は華やいでいた。
今日、昼前にお店を訪ねた。
彼は、睡眠不足と忙しさで目が少々引っ込んでいた。起業や独立はそれなりの綿密な下準備が必要だが、彼の場合、大きなリスクを取っ
た結果、オーナーの協力が得られ、周りの協力が大きな力となった。
誰もが尻込みする条件を蹴とばし、思いで実らせた独立はきっと大輪の花を咲かせ
ると思う。
先に内見し、二の足を踏み、踏み出すことの出来なかった人はきっとジェラシーを
覚えるだろう。平成28年10月6日
有田賢也
レ・デリッツェ・デル・モンド
オーナーシェフ 安田真敏
〒135-0021 東京都江東区白河2-5-12
TEL:03-6458-8068
https://www.facebook.com/Tokyo.Kiyosumishirakawa/この度の、レ・デリッツェ・デル・モンド出店につきまして、多くの方にご協力いただきました。
江戸資料館通り商店街 理事長の分部様、
清澄白河の生き字引の田巻屋様、
オーナーの中村様、
本当にお世話になりました。いや、これからお世話になります。不動トレードは中央区日本橋箱崎町にございますが、私、有田賢也は清澄白河に住んでおり、
清澄白河をこよなく愛しております。
清澄白河に“住みたい、開業・出店したい”という方、いらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。#清澄白河 #賃貸 #出店 #開業